夏涼しく冬暖かい家

　夏の間､クーラーをほとんど使わなくて済んだと注文主から感謝されることがあります｡一年のうちにはどうしようもなく暑い日が何日かありますが､そんな日でも自然の風を取り入れる設計がなされていれば､クーラーなしで結構涼しく快適な生活が送れるものです｡

　日本は､東西の風より南北から吹く風が多いので､南北に窓を開ければ､風は直線的に抜けてくれます､当たり前のことですが､案外北側に窓が設けられません｡設計段階で落としてしまったり､隣家を気にして遠慮したりするケースが見られます｡押入れやクロゼットを配置するのが一般的なタイプです｡
しかし､北側が押入れや物入れで､東西に窓があると､南から入った風は突き当たりではね返るようにして左右の窓からでますので､風の通りは大分悪くなります｡こんな場合は､下の絵のように､押入れの下に地窓を取り付けることをお勧めします｡特に和室など低い位置に座って生活することが多い部屋には効率の良い方法です｡
ところで北側にガラス窓があると､省エネ暖房住宅を進める観点からマイナスと思われがちです｡その解決策には､二重サッシにして空気層を作るとか､ヒーターを北側窓際に設置するとかが考えられます｡

　クーラーの備わった部屋でも､風の通り抜けがないと息苦しく不快な思いをすることがあります｡夏涼しく冬暖かい快適な住まい造りには､二重サッシを効果的に用いながら､風が南北に抜けるようにすること､そして地窓や欄間窓を上手に設けることが秘訣といえましょう｡