鉄骨造の建築


次へ

鉄骨造の建築
 鉄骨の建物は規模により、重量鉄骨造と軽量鉄骨造とに分けることができます。
ビルの建築には、柱の太さが30センチほどもあり、鉄板の厚さも1センチ以上あるような重量鉄骨が使われます。一方、個人の住宅に用いられている柱は太さが10センチにも満たなく、鉄板も3ミリから5ミリと薄くできています。こういう住宅を軽量鉄骨プレハブ住宅と呼びます。
重量鉄骨造の建築は、少ない柱で大きな空間が作り出せます。また高層建築にも向いています。しかし柱や梁が大きいため、部屋の隅や天井に突出部ができ、納まりはあまりよくありません。コストの面でも割高になり、住まいとしては利用しにくい建築工法です。

住宅としても問題点
 鉄骨造を住宅に用いるときの問題を音の点から述べてみます。
「軽量鉄骨の住宅は、音が響いて安らぎがない」という声を実際に住んだ方から聞くことがあります。鉄が音を吸収せず、反射させるからです。鉄パイプの柱は音を共鳴させます。屋外の騒音もそのまま部屋の中に入ってきます。木造の場合だと木が適当に音を吸収してくれます。壁の中に断熱材を入れることである程度、騒音を和らげはしますが、鉄骨造と木造の差は歴然としています。
 加えて、軽量鉄骨プレハブ住宅は、工事の合理化のために、外壁に石綿セメント板の薄いパネルを貼っていく工法をとりますので、遮音、吸音、防音の点でとうしても不利になります。
建物そのものの振動音も問題です。手のひらで鉄柱をドンとたたいてみると、家全体にズーンと響きます。振動が伝わりやすいのです。木造なら、建物に発生する音も、木が吸収してくれます。
このようなことから、軽量鉄骨プレハブ住宅は、静かな安らぎの住まいとして不安が残ります。木造住宅に真の安らぎを感じる方が多いのはこんな理由もあるのです。


閉じる